プロレスラーは、何故試合後にマイクアピールをするのか?

   

1、2、3、ダーッ!!

っていうのは、皆さんご存知だと思います。

アントニオ猪木がリング上でよくやっていた、『皆さんご唱和下さい』ってやつですね。

私も、高校生時分に学園祭でバンドをやって、ライブの最後にこれやって盛り上がってましたね(笑)。

猪木に限らず、リング上でマイクを握り、なんらかのマイクパフォーマンスをするレスラーはたくさんいます。

猪木の場合は独壇場ですが、たいていの場合、試合が終わった直後に対戦相手に向かって罵声を浴びせるというか、そういう用途が多いんじゃないですかね。

例えば、折原昌夫がウルティモ・ドラゴンに、

『俺とお前ではプロレスの価値観が違うんだよ。俺は試合をしに来てる。お前は売店でマスクを売りに来てる。プロレスをなめんじゃねえぞこらあ!!』

って叫んだりしてますね。

するとウルティモ・ドラゴンは、

『ちょっと待てよ。マスク売って何が悪いんだよ?悔しかったらお前も何か売ってみればいいじゃねえか』

と返し、観客を沸かせます。

要は、試合中のファイトだけではなくて、舌戦もエンタテインメントということですね。

他にも、様々なシチュエーションでマイクアピールは使われます。

例えば、大仁田厚が新日本プロレスのリングに乱入を果たした時、リングをジャックされた蝶野正洋は、

『おい!!ここは素人の上がるリングじゃねえんだコラァ!!』

とやって、観客も大喜び。その場の空気で、何を言えば盛り上がるのか?を熟知しているレスラーであれば、会場を毎回沸かすことが出来ますから、そういう能力もレスラーの評価になるんでしょうねえ。

懐かしいところで言うと、ラッシャー木村のマイクパフォーマンスは絶品でしたね。

広島の興行で、

『おい渕!!日頃お世話になってる人にはな、広島名物もみじ饅頭を買って、送ってあげるんだよ』

と叱責したり、ジャイアント馬場には、

『おい馬場!今度からお前のこと兄貴って呼んでいいか』

とオファーしたり(笑)。

それから、

『兄貴、暴飲暴食はダメだよ』

と兄貴を諭したり。。

あんなに味のあるマイクアピールをしたレスラーはラッシャー木村しかいないですね!

あ とは、真面目にやっているつもりがネタにされてしまうケースもあるでしょうね。スーパーストロングマシンに向かって藤波辰爾が放った一言、『お前平田だ ろ?』がそれにあたります。マスクマンの本名をバラすのはご法度なので、ああ、アンタそれやっちゃダメよ、っていう空気が会場に流れたという。

思うに、プロレスファンは、レスラー達に対してテクニック的なものだけを求めているわけではなくて、その生き様情熱も受け取りたいわけです。その材料として、言葉がある、と。

何故あのようなファイトスタイルなのか、あの時、何故あの技を出したのか。あの選手のことをどう思っているのか。彼は何処に行こうとしているのか。

こういったことを実際にレスラー本人から聞けるのであれば、それはプロレスファンにとって、試合をより楽しむ要素に出来ると思うんですよね。

マイクアピールをするレスラーは別に自己顕示欲が強かったり出しゃばりというわけではないと思うんですよ。

あれは、言ってみると、プロレスファンへの、そしてプロレス界への貢献をしていると言っても過言ではないと思う次第です。

 - 星野コテツ的プロレス論