レフェリー・タイガー服部のカウント2.9は物理的に可能なのか
タイガー服部
と言われても、国内ではピンと来ない日本人の方が多いですよね。
というか、海外でも間違いなくそうでしょうけど…
タイガー服部は、新日本プロレスで長年レフェリーを務めた人物です。
もう、私の青春はタイガー服部のジャッジと共にあると言っていいでしょう(笑)。その前は山本小鉄が審判部長だったので、先輩方は、山本小鉄が青春の1ページに色濃く映し出されていることと存じます。
ああ、あと、ミスター高橋っていう人もいましたね。この人は、タイガー服部や山本小鉄よりはちょっと華がないというか、管理職的な、ちょっとつまらないというか(失礼)、そんな趣はありましたねえ。
ミスター高橋は後に暴露本を出版して、新日本に弓を引いた人物としても知られています。当時の新日本フロントは当然激怒したのですが、アントニオ猪木は『あいつも食うためにやったんだろうから、放っておけ』と言ったらしいですよね。ある意味、漢ですね〜。
で、タイガー服部の得意技で、
カウント2.9
というのがあります。これは、通常、スリーカウントを取るところを、すんでのところで技をレスラーが返すので、3つ目をギリで取らない、というムーブなんですね。
つまり、マットを叩こうとしてあと数cm、いや、もしかすると数ミリのところで手を止める、というわけです。
このカウント2.9を、高校生時分の同級生がバカにしていたわけですよ。そんなんできるわけないだろ、あれはやらせ、インチキなんだ、って。
確かに、思い切り手を振り下ろしているはずなのに、その腕が跳ね返ってきたら、物理学的、生物学的に不自然だと指摘される向きも、あるにはあるかもしれません。
しかしですね、私は、それは狭い心でプロレスを見ている人の戯言だと思うんですよ。
まず、ピンフォールでスリーカウント、これがプロレスラーにとって最大にして唯一のゴールであったとしたら、試合ののっけからこれを狙っていくと思うんですよね。押さえつけて、絶対に跳ね返されない技の習得に励むはずです。
し かし、彼らはどうでしょうか。試合の立ち上がりは、まず関節の取り合いに始まって、オーソドックスなマーシャルアーツスタイルだったり、基本のロープワー クから入っていくわけです。特には、最初に刺激的なラフファイトを打ち出して会場を大いに盛り上げてくれるレスラーもいますよね。
そして、スリーカウント取れそうで取れない、という場面が何度も何度もやってくる、という流れです。
するとですね、ああ、今度は決まるのかな?そろそろ決まるのかな?という風に、オーディエンスのハラハラドキドキが増すわけです。
ここで威力を発揮するのが、件のカウント2.9です。さっさとピンフォールが決まる試合ばかりだったら、スリーカウントを取った時の観客の盛り上がりはあそこまで昇華されないと思うんですよ。
カウント2.9を繰り返すことで、スリーカウントが待ち遠しい、じれったい思いをさせられることで、クライマックスに輝きが出てくるということです。
だから、可能かどうかなんていう議論がナンセンスだと思う次第です。
可能なんじゃないんです、あれは、必然のムーブなんです。
ちなみに、私の高校生時分は、『タイガー服部ごっこ』で結構盛り上がりましたね(笑)。体育の授業の時、体育館でマットの上でプロレスごっこをするんですけど、UWFよろしく、いろんな関節技とか試してましたねえ。サソリ固めは難しかったですよw